震災列島【石黒耀】

震災列島は石黒耀氏による災害小説です。
著者は幼いころから火山に魅入られてきたことでも知られていますし、小説家であると同時に医師としても名を馳せています。
これまで震災列島以外に死都日本や昼は雲の柱などの作品があり、とくに死都日本ではメフィスト賞や日本地質学会表彰など高い評価を受けています。

東海大地震と不思議な事件

東海大地震が起きるという予兆があり史上初の警戒宣言が出された頃、名古屋市上汐町では不思議な事件が頻発していました。
腹を切り裂かれた犬の死骸などが路面に捨てられるなど、明らかに妙と思える事件が起こっていたのです。
住人の多くは犯人が悪徳不動産会社として知られる阿布里住宅だと確信していました。

そんな中町内会長である明石善蔵は状況証拠から彼らが犯人だとほぼ確信し直談判に乗り出します。
しかし、相手はこれまで様々な悪事を繰り返してきた悪徳企業だけあってなかなか認めようとはしません。
そればかりか孫娘が暴行されその後死亡することになってしまいます。
愛娘を失った善蔵の息子真人は犯人への復讐を誓います。

その復讐は地震による大津波を利用するというもので、地質会社を営む彼だからこそ考え付いた発想でした。
周到に準備を重ね、地震を待ち焦がれること数か月、やっと東海地震が発生します。
そして、この地震を皮切りに真人の復讐劇が始まるのでした。

評価について

様々な方面から高い評価を受けている作品ではあるものの、タイトルからは想像もつかない復讐劇が幕を開けるということで驚いた読者、肩すかしを食らってしまった読者も多いです。
そのため、インターネット上の口コミでは辛辣な意見も多く目にします。

また、死都日本の評価が極めて高かっただけでなく、そちらは純粋に災害を取りあつかった作品だっただけに余計がっかりしたという声が多数聞かれます。
もちろん、読み手によって意見は様々ですし、面白かったという声も多数聞かれますが、ストーリー的に少し無理がある、リアリティに欠けるという声が多いのも事実です。

おススメの方

ストーリー自体はテンポよく進んでいきますから、サクサクと読み進めることができるでしょう。
災害と復讐をテーマにしている作品ではあるものの、専門的なワードなどは少ないですし、誰でも気軽に読むことができます。
ワクワクドキドキといった感情で読むような本ではないかもしれませんが、東海地震という実際にいつ起きても不思議ではない災害を扱っているだけにそこはリアリティを感じます。

リアルな怖さや人間の本質的な怖さを知るには最適な作品かもしれません。
ミステリーが好きという方でもきっと面白く読み進めることができるのではないでしょうか。
今までとはちょっと違ったジャンルの本を読みたいという方にもお勧めです。